[レポート] アジャイル開発のミライ #RSGT2022
こんにちは、グローバル事業部の藤村です。
2022年01月05日(水)〜2022年01月07日(金)の3日間、現地(東京:御茶ノ水ソラシティ カンファレンスセンター)及びリモートでのハイブリッドで開催されたスクラムイベント『Regional Scrum Gathering℠ Tokyo 2022』に現地参加してきました。
当エントリでは、1日目に開催されたセッション「アジャイル開発のミライ」のレポートを紹介します。
セッション概要
イベントサイトで公開されている発表内容の「概要」は以下の通りです。
2001年にアジャイルソフトウェア開発宣言が世に出てから約20年の月日が経ちました。
15th State of Agile Reportに寄ると、ソフトウェア開発チーム内でのアジャイルの採用が大幅に増加し、 2020年の37%から2021には86%にまで増加したそうです。マイノリティだったアジャイル開発は、ソフトウェア開発のスタンダードになりつつあります。実際にここ数年で企業から出ている求人を見ても、アジャイル開発やスクラムに由来する職種の名前をたくさん見かけるようになりました。
ところで、 5年後、10年後、20年後もアジャイル開発はアジャイル開発なのでしょうか。 5年後、10年後、20年後も私たちはアジャイル開発に携わっているのでしょうか。
もちろん目の前の仕事やプロダクトやチームのことを考えることも大切ですが、たまには少し未来のことを考えてみることも多角的な視点をもつという意味で大切なことです。
私は、10年以上、企業内でエンジニアとしてチームの中でアジャイル開発を実践し続けてきました。その中でSilver Bullet Clubというチームを結成し、2019年にはチーム転職をして企業を越えていまもなおチームで活動を続けています。また、パラレルワークで、さまざまな組織やチームを支援するアジャイルコーチもしています。
そんな自分が、さまざまな経験を経た現在アジャイル開発をどう捉えていて、アジャイル開発のミライをどう見ているのかについてお話してみます。
未来が実際にどうなるかは誰にもわかりませんが、未来をソウゾウすることは誰にでもできます。 アジャイル開発の未来がどうなるのか想像を膨らませながら、自分たちの未来をどのように創造していくのか一緒に考えてみませんか?
セッション発表資料
こちらのセッションは既に資料が公開されています。スライド資料は以下。
セッションメモ
- スライドの表紙が不吉
- Backcasting
- 未来を起点にして現在を考える
- ワクワクするような未来をソウゾウする
- アジャイルの傘
- ボブおじさんは、スノーバードの後も続くとは思ってなかった
- 2020年から2021年にかけて、アジャイルの採用は37%から86%に増加した
- 本当か?
- アジャイル開発はムーブメントだと捉える
- アジャイル開発のミライ=Next熱狂
- ソフトウェア開発という母集団は大きすぎる
- 対立構造は団結しやすいけど、長続きしない
- 既に傾向が出始めている
- ユニコーン企業のひみつ
- 当たり前を疑う
- スタートアップのやり方が良い?
- スモールチームが良い?
- チーム中心が良い?
- 現在の活動がNext熱狂につながるかも
- 次のスノーバードで会おう
感想
セッション後に考えたこと、話したこと
今回のRSGTで、私が一番皆と語り合いたいと思ったセッションがこちらです。
私自身、現在リーンスタートアップの手法を活かして企業のSDGsの取り組みを支援する試み(SDGsスタートアップ研究分科会)にプロボノとして参画しているのですが、基本はフォアキャスティングの考えであるアジャイル、リーンスタートアップの手法を、バックキャスティングの考えであるSDGsに適用することに大変難しさを感じていたところでした。
また今回のセッションでも取り上げられている『ユニコーン企業のひみつ』には、以下の記述があります。
今どきのテック系ユニコーン企業のソフトウェア開発はこれまでとは別物だ。書籍に書かれているようなアジャイルなんてやってない。もちろんスクラムもだ。ユニコーン企業のやり方はもう全然違っている。なんだかうまいことやっていて、スタートアップみたいな働き方で、エンタープライズ企業みたいなスケールを達成しているんだ。
及部さんが話していたとおり、アジャイル、スクラムは、ある意味当たり前になってきている中で、色々なところで次のムーブメントの始まりを予感させるような傾向が出始めていると感じています。
そのような中で、自分が一番に感じた疑問は、「この場(RSGT)で登壇したり、積極的に活動している人は、次のムーブメントの中心には決してなれないのではないか」「次のスノーバードには行けないのではないか」ということでした。アジャイルのムーブメントで活躍している人が次に考えていることは、それは次のムーブメントではなく、単なるカイゼン、バージョンアップに過ぎないのではないかと思うのです。
もちろん、ムーブメントはいきなり切り替わるわけではないので、次のムーブメントの中心になる人達もこの場に参加しているとは思いますが、それはきっと、セッションが終わっても熱気冷めやらずに廊下で話し続けている我々ではなく、悶々とした思いを抱えながら今頃既に帰りの電車の中にいるような人達かもしれない、そのような疑問を登壇後の及部さんにぶつけたりしてました。
またその話の中で、「変化に適応できるアジャイルが適応できないムーブメントってどんなもの?」って話があり、その問いに対する私なりの答えは「変化に適応しちゃったがためにアジャイルが通用できないミライがあるのではないか」といったものです。この辺りは書籍、『ZERO to ONE』にも通じるところがありそうに感じます。
最後に私自分がソウゾウしたミライ、次のムーブメントを書き出してみます。フィードバックもらえると嬉しいです。
自分がソウゾウしたミライ
- 人類にPOは難しい
- AIPOの登場
- AIPOが描くミライからのバックキャスティング
- AIPOが描く世界に小さな仮説検証は不要
- 変化に適応する必要がない
- 大規模チームが最短距離で一気に作る
- 作ると言っても、ソフトウェア開発は(ほぼ)しない
- ノーコード/ローコード
- このクラウド時代において、ハードウェアエンジニアが自前でサーバを調達しないのと同じ
- パッケージ、SaaSなどをカチカチ組み合わせる
- 組み合わせるのはエンジニアである必要はない
- 今のソフトウェアエンジニアの大半は不要
- オンプレハードウェアエンジニアが不要になったのと同じことがソフトウェアにも起きる
- つまり、次のムーブメントは、「AIが決めたプロダクトを、大規模チームが、可能な限り開発しないプロダクト開発プロセス」になる!
ミライはどうなるかなんてわかりませんが、こういったことを考えるのはとても楽しいですね。そのきっかけを与えてくれた素晴らしいセッションでした。